着実に業務の成果を出すには?業務フローの現状分析と改善活動

Posted by bruu hacks 編集部 on 2020/08/19 12:39:27

企業にとって、より良くするための改善や改革は当たり前の活動といえるでしょう。定期的に業務改善の会議を持ち、その成果を報告しあい、継続的な改善に努めています。しかし、「そろそろ改善の余地がなくなってきた……」という意見もあるのではないでしょうか? そこで今回は、業務フローそのものの見直し方についてお話しします。

 

業務改善の必要性

まずは、業務の見直しや改善の必要性について考えてみます。

生産性に大きな伸びしろがある日本企業

GDP(国内総生産)では米国、中国に続き世界第3位にある日本。しかし、そのGDPを1人・1時間当たりのGDPで計算してみると、OECD(経済協力開発機構)加盟国37か国の中で26位になるという現実があります。もちろん、産業構造や人口数などの違いで一概には決定づけられませんが、少なくとも生産性について改善・改革の余地はありそうです。労働者1人の1時間当たりでの数値ですので、ほかのOECD加盟国と比べ、同じ金額を稼ぐのに大人数で長い時間を必要としていることもありえます。

<一緒に見ておきたい記事>生産性の向上、新規取引先の拡大が期待できるBtoBのECとは

 

縮小する労働生産人口への対処

日本の経済界、産業界は、もうひとつの大きな課題に直面しています。それは、少子高齢化による労働生産人口の減少です。若い世代では転職をする人も増えているので、「新卒採用による安定した労働力の確保」という考え方が揺らいでいます。中途採用でも「適正な人材を補充できない」という問題があります。若い労働者の母数そのものの減少が、人材の採用や育成の障害となり、採用費などのコスト的な負担も大きくしているのです。今後、日本の人口は減少局面を強めていくので、この問題は将来にわたり、ますます深刻化していくでしょう。その点でもやはり、人材の力や士気に頼るのではなく、業務フローの根本的な見直し・改善が求められます。

 

オフィスの働き方改革

政府が取り組む「働き方改革」の一つに、ワークライフバランスの是正として、長時間労働の削減が掲げられています。残業時間に規制を設ける企業も増えてきたようですが、単純に「残業時間を減らせばよい」というものでもありません。仮に、残業削減運動などで一時的に減らすことができたとしても、根本的な問題を解決しなければ、再び残業体質に戻ってしまうことになるでしょう。

政府が推奨する「働き方改革」は、縮小する労働生産人口への対処、働き方の効率化を進めて労働生産性の向上を目指すものです。「働き方」というと労働者側が対応するイメージですが、業務フロー改革のように「働き方改革を推進する基盤の整備・強化」も並行して実施されることが望ましいのです。

 

業務フローの現状を分析する方法

それでは、業務フローの改善に必要な業務の洗い出しと分析方法について見てみましょう。

業務の棚卸

「業務の棚卸」という言葉を聞いたことがある方も多いと思います。それぞれ、担当の業務については熟知しているつもりですが、工数や所要時間などの詳細までは把握していないものです。さらに、それらの集合体である全社の業務とそのフローについて理解するとなると、実は誰も把握しきれていないということもあり得ます。

そこで、在庫品や仕掛品などの現状を定量的に把握するのと同じように、社内で運用されている業務と、その詳細について見える化し、俯瞰(ふかん)してみる必要があります。次の3つがその要諦です。

  • 各部署で業務を管理する立場の人に、「業務名」、「内容」、「工数」、「人員数」「発生頻度」「所要時間」などを表に記述してもらうことで、一覧化する。
  • 社内の各部署に「どんな業務があるのか?」を一度整理するよう指示をだして、実情を把握する。
  • 業務改善の3つの目的「ムリ」、「ムダ」、「ムラ」をなくすという視点で課題を洗い出す。

分析に活用できるフレームワーク

ここでは業務フローの改善に使える分析手法や枠組みについて考えてみます。次の3つのフレームワークは、情報の分類に適しているといえるでしょう。

  • 5W1H

    伝えるべき情報は、5W1Hに従って抽出すると漏れがなくなります。これを業務の整理に応用し、When(どんな時に)、Where(どこの部署で)、Who(どの社員が何名で)、What(どの案件を)、Why(何の目的・効果のために)、How(どのような手順やツールと工数で処理しているのか)に沿って把握します。
  • ロジックツリー

    物事をツリー状に分解し、論理的に原因や解決策を探し出すためのフレームワークのことです。業務を分析する場合、できるだけ詳細に区分し、それぞれについて深掘りしていくことで、課題や解決策を導き出すことができます。
  • ビジネスプロセスモデリング表記法

    プログラム開発で使われるフローチャート図に近いもので、業務の開始から終了までをフローチャート図によりモデル化する手法です。図にすることで、効率性の改善や新たな分岐などを考慮しやすくなります。また、業務フローを視覚化できるため、日常の業務管理のほか、問題点や課題の抽出にも応用できます。ビジネスプロセスモデルおよびその表記法として「BPMN」という略称が一般的です。

業務の見える化と業務フローの改善で生産性の向上を

「業務の棚卸」は「業務の見える化」のための前段の活動であり、棚卸された各業務の内容については、紹介したような業務分析のフレームワークで、さらに視覚的に理解しやすくしていきます。ここでのポイントは、改善対象のすべての業務を棚卸して見える化することです。思いついたところ、目立ったところだけをピンポイントに分析しても、業務全体のフローの中で生じるボトルネックが浮かばないと、フロー全体の改善につながらないことがあります。

この棚卸と見える化、業務フローの分析は1回の作業で完結するものではなく、改善・改革をしつつ、各業務の現状評価を定期的に実施し、効果測定を続けていくことで、再び何かの原因で業務が停滞してしまうことを防ぐようにします。特に、従来の業務フローを踏襲しがちな受注における業務フローは、「顧客からの発注」から「事務処理の工程」までを、できるだけフローチャート図などで分析し、「可視化」(見える化)すべき対象と言えます。顧客対応の重要なパートですので、より早期の改善実施につなげたいところです。

 

業務フロー全体の見直し

作成したフローチャート図をもとに、局所の改善だけでなく、「業務フロー全体の改善」についても考えてみます。受注から発送手配まで完璧なフローが完成されていても、倉庫発送から納品までの余分な時間コスト、金銭コストがあるようでは、結果として無駄のない業務フローとはいえなくなります。このようなボトルネックを発見し、改善することにより、フロー全体への改善・改革効果という最終目的に到達できるのです。

 

改善方法と期待できる効果

続いては、業務を可視化できた後の「具体的な業務フローの改善方法」について見ていきます。

 

ECRS

業務フローの改善・改革というと、新しい管理ルールを追加したり、これまでの管理手順をさらに厳格にしたり、あるいはICTツールを導入して解消するという発想になりがちです。もちろん、それも大切ですが、その前の段階として、無駄な業務を縮小し、全体を簡素化させることから始めます。

そのための方法の概要が「ECRS」で、次のような改善手法の頭文字で表されたものです。受注業務の例で見てみましょう。

  • E「Eliminate・エリミネート」(取り除く)
    電話での受付、FAX申込書の再入力、関連部署向けの複数の伝票、倉庫への在庫の問い合わせ、顧客の発注内容の再確認、商品名や品番・型番の記述ミスの確認、時期や数量による単価の確認など、当たり前とされてきたことでも、工夫をすれば減らせる業務の削減から着手します。
  • C「Combine・コンバイン」(つなげる・一緒にする)
    電話やメールなどでの受注・問い合わせの担当部署とカタログや見積もりの担当部署を同じチームとして連携を図ることや、複数人が同じシステムにバラバラの時間に入力している作業を1人がまとめて決まった時間帯に入力するという運用へ変更を行うことなどが該当します。その結果、時間的なロス、進捗情報の共有、迅速な対応を図れ、人的なコストの削減だけでなく、顧客満足度の向上も望めます。
  • R「Rearrange・リアレンジ」(組み替える)
    営業における顧客対応の順序を入れ替え(例:商談してから詳細資料ではなく、たり、電話やFAXの問い合わせや受注フローをインターネット受付に代替するなどが該当します。時間的なロスや工数の低減効果が図れ、顧客満足度の向上も期待できます。
  • S「Simplify・シンプリファイ」(簡素化)
    顧客からの取得情報、社内でのデータ化などの転記・入力作業を、できるだけシンプルな項目や処理工程にします。見積りの提出、販売の審査における決裁者の人数を減らす、なども該当します。受注窓口をEC化することで、受注処理全体を電子化して、起票作業や確認、情報の共有などをシンプルかつデータ化することも該当します。

まとめ:業務フローの見直し・改善は可視化がカギ

業務の棚卸、可視化、無駄な作業の削減や簡素化といった努力により業務フローの改善は進められます。大きな成果を得るには、業務改善のフレームワークの活用によって、まずは現状を正しく把握し、より効率的に運用するための分析、検討を進めるという流れを根付かせることが大切です。

 

参考:

業務改善のためのフレームワーク「ECRS」と11のポイントとは|アイピア

世界の1人当たり名目GDP 国別ランキング・推移(IMF)|GlOBAL NOTE

働き方改革に重要なのは「生産性向上」~従業員のモチベーションアップも意識しよう|

Equal Partners

5W1Hの正しい順番とケーススタディ4選|イノーバ

ビジネスプロセスモデリング(BPMN)表記法とは|Lucidchart

 

New Call-to-action

Tags: 生産性アップ 業務効率アップ